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『大震災とチベットの焼身自殺』
Feb. 22, 2012



本日はロサール、チベット暦の新年。だが、難民を初めとする多くのチベット人たちは素直に正月を祝う気持ちには到底なれないだろう。なぜなら、現在チベットでは、これまでには無かった「悲劇」が次々と繰り返されているからだ。

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習近平

昨週、中華人民共和国副主席、習近平氏が訪米。次期国家主席の就任が確実視される習氏をオバマ政府は異例の持てなしで歓迎した。テレビ局各社は連日これを大きく報じていた。オーバル・オフィス(大統領執務室)でのオバマ大統領と習氏とのやりとり、歓迎レセプションでのバイデン副大統領による中国の人権状況への憂慮とそれに対して習氏が反論する映像などが繰り返し流され、「両大国の腹の探り合い」「牽制し合う大国」等の特派員レポートが添えられた。又、「両国の関係は結婚と同じ。爆発する前に正直に言いたいことを相手に伝え、ガス抜きをしているのだ」とのアメリカ人の専門家に拠る分析も紹介されていた。

しかし、近年の両国関係を精査してみれば、それが両国のいつもの政治パフォーマンスに過ぎないことは容易に分かるだろう。米政府には、中国の人権状況(特にチベット)に懸念を示すことで、他国や国内外の人権団体等からの「米政府は人権問題を蔑ろにしている」との批判をかわそうとする隠れた意図がある。アメリカの狡猾なダブルスタンダード政策はつとに良く知られ、これまでに中東の国々・民族を初め多くがその犠牲になっている。チベット人も過去に煮え湯を飲まされた。50年代の中国によるチベット侵略後、チベット人の有志がゲリラとなって中国軍と戦っていた。ソ連や中国等の共産主義勢力の台頭を恐れていた米国は、CIAを通じてチベット人ゲリラに武器を供給していた。しかし、ニクソン政権の親中政策への変更により、支援は突然打ち切られ、国の解放を信じていたゲリラの多くは非業の最後を遂げることになる。その後も、ブッシュ政権が自らの対イラク政策等での失態を覆い隠す為にダライ・ラマに勲章を与えて巧みに利用する等、チベットは翻弄され続けている。

中国政府の人権に関する答弁も実に巧妙だ。「人権問題は内政問題。多様な民族を有する中国の事情は複雑だ。その改善に我々は最善を尽くしている。」と同じフレーズを毎回繰り返すことで、記者からの質問を巧みにかわしていく。結果、毎度同じ答えしか引き出すことが出来ない記者たちからは、諦めと共に、いつしか厳しく追及する質問さえも出なくなる。そして、中国当局のメッセージはそのまま、当局の意図のままに世界に発信されることになるのだ。その裏では、両大国は自らの利害関係(即ち、ビジネス・経済)の下に親密な関係をがっちりと深めて行く。結局、人権問題などは政治パフォーマンスの道具に過ぎない。

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さて、今回のマスコミの画一的な報道の影で、社会の木鐸たる使命を有するジャーナリズムが絶対に伝えねばならないチベットの現状は無視される。それが、前述した「悲劇」だ。2011年の3月より、「東日本大震災」と時を同じくして、チベット民族居住地域各地で、中国政府の圧政、チベットの解放を訴えるチベット人民衆の焼身による抗議が相次いでいる。昨週も未だ19歳の尼僧、テンジン・チョドロンさんが焼身自殺した。BBCに拠れば、昨年から今までに、分かっているだけで、焼身者の数は20人を越えている。その多くが死亡。私は以前制作したチベット難民のドキュメンタリー(『チベット難民-世代を超えた闘い』)の中で、インドで焼身自殺をした元僧侶の難民の男性を取り上げた。彼は濃いオレンジ色の炎に全身を包まれながらも、走りながら、合わせた両手を虚空に突き上げながら訴えていた・・・抗議の手段として、焼身ほど凄まじいものは他に無いだろう。火傷により皮膚と呼吸器は焼けただれ激痛と呼吸困難の中殆どの者が死んでいく・・・想像しただけでも、全身が引きつり心底恐ろしくなる。それを、チベットでは、この1年というごく短い間に20人以上が決行している。この事実だけでも、彼ら、彼女らの追いつめられた心境が分かるはずだ。こんな異常事態は、近年、世界の如何なる場所でも起こっていない。これから、来月10日の「チベット民衆蜂起記念日」にかけて、チベット人達の抗議は激化していくだろう。それに伴い、焼身自殺の数も増えていく・・・

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チベット人の切なる思いは、今に始まったことではない。世代を超えて、もう50年以上も続いているのだ。この辺りの事情(「チベット問題」)ついては、先のドキュメンタリー作品、このブログ内の他の拙記事、チベット専門小冊子への拙寄稿文、他の方々のページ、関連書籍等を参照されたし。マスコミ、特に日本のテレビは「チベット問題」を無視し続けてきた。中国との、或いは中国市場でのビジネスを展開する数々の企業からのスポンサー収入に支えられ、日中友好協会など中国系の団体と密接な関係のある日本のテレビ局は、中国との関係に深刻な亀裂を生じかねない「チベット問題」を取り上げることに全く消極的だ。正直、報道したくないのだ。「2008年」は全くの例外。チベットでの暴動が世界的な関心事となってしまったため、マスコミは止むなくそれを取り上げた。その証左に、その後もチベットの状況は悪化の一途をたどっているが、あの当時のチベットを巡る“報道喧噪”が幻だったかの如く、その後、各局共に何ら詳細な報道は無い。今回の「焼身自殺」事件が報道されないのは、至極当然なのだ。そのくせ、直接の利害関係の無い「アラブの春」や北朝鮮関連の報道は積極的で、「市民の命が蔑ろにされている!」等とレポータ-が叫んでいるのだから、開いた口が塞がらない。整合性の無さ、モラルの欠如、ここに極まれり。真のジャーナリズムなどここには無い。

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本年は日中国交正常化40周年。人気アイドルグループAKB48が親善大使に就任する等、記念事業も目白押しだそうだ。近隣の国同士が親交を深め、より良く理解しようとすることに何ら異論はない。私にも中国人の良き友人達がいるし、学生時代の中国一人旅では素晴らしい体験をさせて頂いた。感謝の念に堪えない。両国の友好関係の推進を心より願っている。しかし、だからと言って、中国の未だに自国民を強大な武力により弾圧し死に追いやるといった“暴力独裁国家”としての側面を看過していいことにはならない。日本は“友人”国家として、そのことも公できちんと指摘し批判するべきだ。それが真の友人たる姿勢だし、本気で信頼し合える関係を築こうとするならば避けては通れない。正に、「良薬は口に苦し」。

しかしながら、中国との関係を基本的にビジネスパートナーとしてしか考えていない、考えられない政府、経団連、大企業からはその様な姿勢は全く見られない。情けない限りだが、これがこの国の実情なのだ。そこには、昨年の震災後より巷で盛んに叫ばれる様になった「生命の尊さ」や「絆」の意味を深く考え大切にする真剣さは微塵も感じられない。1000年に一度とも言われる母なる地球からの凄まじい“揺さぶり”を受けても、チェルノブイリに次ぐ原発大事故を引き起こしても、結局、この国の政治家、企業幹部を初めとする大多数は、社会、仕事、人生に対する新たな価値観に目覚めることは無いようだ。若者も同様。社会の根本改革を多少のリスクを負っても今こそ率先して担うべき若者達の人気就職先のトップは、「堅実で安定していて一生食いっぱぐれない」を主たる理由に2011年度(2012年新卒)も「公務員」・・・「長いものには巻かれろ」「寄らば大樹の蔭」など、組織や団体の利潤の為ならば(例え自らの良心に反しても)他の生命を蔑ろにし、他との絆を分断し対立する事態を招きかねない以前同様の「社会通念」の中へと明らかに多くが舞い戻っている。震災直後に老若男女問わずあちこちから湧き上がった「日本社会は根本から変わる必要がある!」の威勢の良い掛け声は一体何だったのか?

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瀬戸内寂聴さんの被災地慰問を追ったNHKのドキュメンタリー番組を先日見た。その中で、彼女が被災された方々に釈尊の「犀の角のようにただ独り歩め」の言葉を贈っていたのには驚いた。なぜなら、この教えほど現在の日本社会にとって必要なものは無いと震災前から考えていたからだ。この教えは、我々に常識や価値観の転換を厳しく迫り、生きる真の意味を問い質す。政治・経済大国となった中国の人権を無視した政策に対して、リスクを負ってまで正面から「NO!」を突きつける”非常識”な国、組織、個人は殆ど見当たらない。だからこそ、敢然と自らの身体に火をつけ公然とその政府を批判するチベット人達に、私は「犀の角のようにただ独り歩め」の一つの体現を、痛ましく悲しくもあるが、確かに見るのだ。以前の記事にも書いたが、「チベット問題」とは、各々一人一人の人間としての意志や本質が試される問題だ。この問題を通じて、その者たちの真の人間性が明らかとなる。

間もなく、あの大震災から1年。宿縁なのか、「チベット民衆蜂起記念日」の翌日だ。再び思う。何故、我々は1000年に一度という大震災を経験したのか? 何の為に多くの人達は犠牲になったのか? 原発事故は一体何のための教訓なのだろうか? 焼身自殺を遂げたチベット人達に思いを馳せながら、再度、考えてみても時間の無駄にはならないだろう。いや、それこそが、亡くなった方々への本当の意味での供養となる。


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【2012/02/23 04:22】 | チベット問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
東北地方太平洋沖地震
Mar. 14, 2011

先週3月11日(金)に東北地方太平洋沖地震が発生した。マグニチュード9.0という世界観測史上最大級の凄まじい大地震。私は東京で仕事をしていて酷い揺れに襲われ、遂に首都直下型地震が来たのかと覚悟したほどだ。

発生から4日が経ち、被害状況が次々と明らかになっている。テレビに映し出される大津波に破壊された街の悲惨な光景や泣き崩れる被災者の姿にただ言葉を失うばかり・・・。これまでにバングラデシュのサイクロン被害など凄惨な災害現場を取材してきたが、これほどの光景は見たことがない。福島第一原発の事故も予断を許さない。

今日現在、既に死亡・行方不明者は4000人以上、安否不明は2万人に上っている。私の宮城の友人・知人の安否も未だに不明。とにかく無事を祈るだけだ。

チェーンメールを初め、真偽の分からない様々な情報が錯綜している。こんな時だからこそ、一人一人が一層冷静に情報に接し状況を見極めるべきだ。居ても立っても居られずに現場でボランティア活動に従事したいと願う人も数多くいる。だが、今は控えるべきだろう。現場は未だに非常に混乱し受け入れ態勢は整っていないし、しかも余震が続いている。原発事故による放射能拡散被害もどうなるのか全く読めない。善意の気持ちは良く分かる。しかし、特にアマチュアの軽率な行動は事故(二次災害)などに繋がる恐れもあり、かえって被災者や救援にあたっている関係者の迷惑になりかねない。先ずは募金・寄付から始めよう。今後、復旧・復興に向けてお金は幾らでも必要だ。窓口を幾つか:
*http://bokin.yahoo.co.jp/donation/detail/1630001/index.html
*http://www.peace-winds.org/
*http://www.groupon.jp/cid/7995/

世界各国から支援の声が寄せられている。私の方にも外国の友人・知人から続々と安否確認と応援のメール・電話が届いている。ありがたい。今正に、日本や日本人の底力や真価が問われている。日本が世界における真のリーダーになるためにも、この大震災を機に、社会のあり方や意識を根本的に変えていく必要があると思う。

改めまして、被害にあわれた地域の皆様に謹んでお見舞い申し上げますと共に、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対して深くお悔やみを申し上げます。一日も早く笑顔を取り戻されることを心よりお祈り致します。共にこの困難を乗り越えて行きましょう。再び必ず「光」を見出せると信じます。

テーマ:東北地方太平洋沖地震 - ジャンル:ニュース

【2011/03/14 21:06】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「チベット大震災」への支援のお願い
Apr. 23, 2010

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多くの方が既にご存知の様に、去る4月14日、中国青海省玉樹チベット族自治州で大規模な地震が発生した。この一帯は、チベット人の伝統的な地域区分に従えば“カム”(東チベット)地方。中国の侵略行為に最後まで抗した蛮勇の士・“カムバ”(東チベット人)の故郷の一つだ。

20日付けの中国新華社通信に拠れば、死者は2039人、行方不明者は195人に上っている。被災地は標高約3700メートルの高地で、救援隊が高山病にかかるなど、救助は難航。この近辺に友人・知人の家族が住んでいることもあり、今回の大震災には余計に心を痛めている。取り急ぎ、少々の義援金を赤十字を通じて現地へ送った。

さて、昨日、友人(「チベット交流会」代表)より支援の呼びかけメールがあった。以下、全文を転載します。皆様方の温かなご支援を心よりお願い申し上げます。

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(転載メール)

チベット支援の皆様へ(Bccで失礼いたします。重複なされた方は、ご容赦下さい)

ご無沙汰いたしています。天候不順な日が続いていますが、お変わりございませんか?

チベット人居住区にて発生した、大規模な地震にもかかわらず、海外援助を断り続けている中国政府ですが、現地は、日が経つにつれ、食料やテント、医療の不足が伝えられてきています。

このたび、募金窓口として、チベット交流会でも寄付を集めさせていただくこととなりました。これは、支援金が確実に現地に届くルートが判明した為です。

緊急支援とあわせて、復興の費用が今後更に、大変になってきます。ご負担をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。また、少しでも義援金を届けたいと思っていますので、地元で出来る街頭募金活動を検討しています。日程が決まりましたら、ホームページにて告知いたします。こちらのほうも、よろしくお願い申し上げます。

以下に、友人から頂きましたメールと、振込先を案内いたしました。
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青海省地震支援のお願い

今回の青海省地震で被災されたチベットの皆様のご冥福をお祈りいたします。 被災者たちの安全と速やかな復興を願うばかりです。

地震がおきた玉樹は強制移住させられた元遊牧民が多く住む町。 友人の在日チベット人のご両親がこの町に住んでいますが、 連絡がつかない状態です。お兄さんは怪我をし、現在病院だそうです。 彼が来週、玉樹に旅立ちます

以下、彼から皆さんへの伝言です。

「50円でも100円でもかまいません。被災したチベット人を助けてください。50円でも食べるものが手に入ります。 私が現地のリンポチェや病院関係に必ず届けます。どうかお願いします」。

 *彼の出発に間に合わない場合は、青海省の赤十字へ送金します!
  彼の友人を介して、青海省の赤十字の副会長と連絡がついたそうです。
  彼を通じて、あるいは、直接青海省の赤十字へ送金します。

被災者の数が増えています。皆様、どうぞ、よろしくお願いいたします。

<振込先>
*「ゆうちょ銀行」 店名(店番):028 口座:普通0649009
名義:チベット交流(*他銀行から振り込む場合)
*「郵便振込」: 口座記号番号:0220-0 108381 
口座名義:チベット交流会

〈問い合わせ・連絡先〉
〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町3144-5
電話・FAX 045-943-5258
メールアドレス:tibet@aol.jp
ホームページ: http://www.tibet-jp.com/


テーマ:チベット - ジャンル:海外情報

【2010/04/23 15:58】 | チベット問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ダライ・ラマ元側近「チベット」を語る
Mar. 7, 2010




10数年来のチベット難民の友人が3月10日に来日し、都内他各所で講演会・ワークショップを開きます。マスコミでは流れてこない難民の”本音”を聞けるでしょう。「チベット問題」に関心のある方は見逃せません。チベットの文化や健康法に興味のある方も是非ご参加下さい。新たな「チベット」の魅力を発見できるに違いありません。

詳しくはこちらでご確認下さい。


【2010/03/07 16:22】 | チベット問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『compassion(コンパッション)』- チベット〈問題〉を考える専門誌
Nov. 14, 2009

compassion

私が寄稿した専門誌・『compassion(コンパッション)』(Vol.2)が発行の運びとなりましたので、ご報告します。『compassion』は、欧米のみならず日本でも近年高い関心を集める「チベット問題」を歴史・文化・思想・人権・環境など多様な視点から考える小冊子です。マスメディアが伝えない、伝えられない情報が満載。「チベット問題」を冷静且つ正面から真摯に考えようとする方には参考になるでしょう。「真言宗智山派青年僧侶有志の会」発行。

同誌第二号のメインテーマは「望郷」と「非暴力」。「有志の会」のリーダーである長谷寺(長野県)の岡澤慶澄住職は、私のドキュメンタリー・『チベット難民』から大きな刺激を受けたと語って下さいました。

岡澤住職を初めとする『compassion』制作スタッフの方々の誠意あるご尽力に心より感謝したいと思います。

同誌の詳細については、関連サイトをご覧下さい。

こちらでも委託販売(頒布価格500円)をしております。購入ご希望の方はメールにてご連絡下さい。


【2009/11/14 15:12】 | チベット問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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